更新する建築　小スパン軸組木構造の中高層集合住宅

「木」は軽く柔らかで加工しやすい材料です。逆の見方をすれば、木はコンクリートや鉄に比べて圧倒的に壊しやすい材料であるといえます。この特徴に着目して「壊し、建て替える＝更新する」という観点から着想された都市木造がCubeです。伊勢神宮の式年遷宮では、隣接する古殿地に神宮を遷すことでその永遠性・永続性を獲得する一方、排出される木材をリユースする「建材の循環システム」を内包しています。古くから続くこの神事のイメージを都市集合住宅に重ね合わせることで、持続可能な建築更新プログラムが構築できるのではないかと考えました。
Cubeは30年間での建て替えを前提とした中高層の木造集合住宅団地です。10世帯を収容する1辺15立方体の最小ユニットを2間程度の小スパンによる柱・梁による軸組で設計し、これを連結させて大規模な集合住宅を計画しています。建替え時には、隣接された建設用地に新築のユニットを先ず1棟建て、住民が移り住んだ後はその要領で順次建て替えていきます。このようにして建築が更新し続けることで、時代に応じた価値を所持し、「集合住宅」としての永続性を獲得することを目指します。また、建替え時に排出される木材はワンサイズ小さな材料に削り、小規模な木造建築の構造材や造作材として再利用します。長期間にわたり建材として使い続けることで、森林の循環とリンクさせます。